時間:2022年2月18日
文字盤上で月の満ち欠けが分かるムーンフェイズは、ロマンあふれる機構だ。仕組みや歴史について理解を深めれば、IWCのムーンフェイズ搭載機を選びやすくなるだろう。IWCのムーンフェイズが持つ魅力やおすすめモデルを紹介する。
ムーンフェイズとは、その日の月相(月の満ち欠け具合)を文字盤上に示す機能のことだ。多くのブランドがさまざまなデザインのムーンフェイズを、自社のモデルに取り入れている。
月が満ちて欠けるまでの平均的な周期は、約29.5日だ。この周期の2倍にあたる「59」の歯数を持つ回転ディスクをムーンフェイズに組み込み、ディスクが半周する間にすべての満ち欠けを見せる仕組みとなっている。
ほとんどのムーンフェイズに共通するのは、月や夜空が描かれたディスクを小窓からのぞかせるデザインである。1周で月の周期を2回見せる仕組みになっているため、ディスクにはふたつの月が描かれている。
ムーンフェイズの基本的な機構は、16世紀ごろにはすでに作られていたといわれているが、腕時計に取り入れられ始めたのは1940年代に入ってからだ。
今でこそユニークな見た目が特徴となっているが、ムーンフェイズはもともと実用性を求めて作られた機構である。かつての人々は夜空を眺め、月が地球に及ぼすさまざまな影響を予測していたのだ。
ウェブで月の情報がたやすく入手できる現代と異なり、昔は何日も曇りの日が続くと月相が分からなくなっていただろう。月が隠れている日でも満ち欠けを把握できるムーンフェイズは、月相を必要とする人たちに重宝されていたのである。
一般的な構造のムーンフェイズは、約3年で1日程度の誤差が生じる。歯数59の回転ディスクを使った場合、月の満ち欠けの周期と微妙にずれるためだ。
IWCはこの誤差を小さくすべく、歯数135の回転ディスクをムーンフェイズに組み込んで細かく動かすように改良した。約122年で1日の誤差まで抑えた「永久ムーンフェイズ」を、1985年に発表したのである。
永久ムーンフェイズが搭載されたモデルなら、最初の設定後は生涯にわたって調整する必要がないだろう。その後、2017年に発表された永久ムーンフェイズ搭載モデルでは、表示誤差が約577.5年に1日まで進化している。
月の周期が変動したり時計が止まったりした場合は、ムーンフェイズを手作業で調節しなければならない。リュウズとプッシュボタン、それぞれを使った合わせ方を覚えておこう。
ムーンフェイズをリュウズで調節するタイプの時計なら、リュウズを回せば月齢の調節が可能だ。リュウズは時刻や日付の調節にも使用するため、実際の合わせ方は時計の説明書で確認しよう。
ムーンフェイズを合わせる際は、月齢カレンダーを参考にして調節するのが一般的である。ムーンフェイズを新月である「月齢0」の状態にし、直近の新月から経過している日数分をリュウズで進めれば設定は完了だ。
「月齢15」の満月を基準にしても調節できる。月齢カレンダーはインターネットで検索すれば簡単に見つけられるだろう。
時計によっては、リュウズではなくプッシュボタンでムーンフェイズを調節するタイプも存在する。
ここでいうプッシュボタンとは、ピンで押して操作する小さなボタンのこと。一般的には、ケースサイドのリュウズの上部付近に配されている。
月齢カレンダーを参考にしながら調節する方法は、リュウズを使う場合と変わらない。新月または満月の状態にし、プッシュボタンを押して現在の月齢まで進めよう。1回押すごとに1日進む仕組みである。
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